心臓血管外科医でボディビルダー:華山先生に聞く、日常に取り入れられるダイエット法
50代でボディビルディングを始め、大会前には体脂肪率3%まで下げる。
ボディビル界では「絞りの華山」とも呼ばれる、心臓血管外科医の華山 直二 先生は、これまで色々なダイエット方法を自ら試してきました。今回は、華山先生の減量法をご紹介いただきながら、ボディビルディングをしていない方も試せる、ダイエットのアドバイスをいただきました!

|ダイエットをする前に、自分の身体を知る
ダイエットをする前に、まず本当にダイエットが必要かということを判断していただきたいです。
そのためには適切な筋肉があるのかどうかということを、見ていただきたいです。筋肉が足りないのであれば筋肉をつけつつ、減量をしていただきたいです。ですので場合によっては筋肉をつけることによって体重が増えていくかもしれないし、あるいは筋肉を付けていくことによって体脂肪率は下がっていくけれども、体重が変わらない方もいらっしゃるかもしれないです。なので体重だけを見るのではなく、体組成を見ながらダイエットをしていただくというのがまず一番大切だという風に思います。
|生活に合った運動と食事バランスの考え方
運動と食事のバランスは、その方の生活様式によります。
私は心臓外科医ですが、今は色々な仕事をやってくれる人たちのおかげで、自分の時間が作れるので、週5回ジムに通えています。でも週に5回ジムに行けるようなお仕事の方って、そうそういらっしゃらないと思います。推奨は週3回運動をすることですが、それによって生活リズムが崩れてしまう方もいらっしゃると思います。そういう方は運動は可能であれば行い、お食事メインでやってください。私みたいにジムに週5で行ける方であれば、消費カロリーが増えますから、摂れるカロリーもちょっと増えるわけですね。なので、それができない方はお食事で頑張ってみてください。
食事編:脱「これを食べれば大丈夫」自分に必要な成分で食べるものを選ぶ

ダイエットをする中では、なんといっても食事がメインになってきます。そこで気にするのがPFCバランス。Pがタンパク質(Protein)、Fが脂質(Fat)、Cが炭水化物(Carbon)。その3つのバランスが大切です。
炭水化物を取らないようにするというのは、ケトジェニックダイエットって言われている方式なんです。私もやったことがあります。でも炭水化物のかわりに脂質でカロリーを摂取しようとすると、大量の脂質を摂る必要があります。私は一時期さばの水煮缶にマヨネーズを大量にかけて食べていました。それくらい、大量の脂質を摂取することはなかなかできないんですね。
それに対して今、私が行っている減量方法は、脂質を少なくする減量方法なんです。なぜかというと、炭水化物とタンパク質は約4kcal/g、それに対して脂質は約9kcal/g。なので同じカロリーでも脂質を除いて炭水化物にすると、その分たくさん食べられるんですよね。
|鍵となるのは、アミノ酸⁈
私の炭水化物の主食はお餅です。大会前は里芋を食べています。なぜかと言うと、里芋はエネルギー量に対して体積が多いので、少量でお腹がいっぱいになりやすいんです。タンパク質を摂るためには、納豆とプレーン味のサラダチキンを食べています。私の中ではセブンイレブンのサラダチキンが断トツですね。食べ始めてから10年になりますけれど、今でもおいしいと感じます。
間食には脂質がほぼ入っていない羊羹を摂るよう にしています。でも空腹時には羊羹を食べないようにしています。糖質を摂ると、血糖値を抑えるためにインスリンが分泌されて、細胞の中で脂肪合成にどんどん使われていきます。なのでインスリンをあまり出さない方が、減量には有利なんです。ところが羊羹に入っている砂糖は、とてつもなく血糖値を上げます。インスリンの分泌や、分泌した時にきちんと使えるかは体質によるのですが、私の場合、糖を摂ると血糖値が一気に上がります。
そこで食べる前にアミノ酸をとることによって、血糖値の上昇を抑えています。私は今、朝は2時に起きているんですけれど、起きたらすぐに納豆とサラダチキンを食べています。それからジムに行って、トレーニング中に必須アミノ酸(EAA)のサプリを飲みます。その後、羊羹を食べるんです。私は機械をつけて、自分の血糖値をモニターしていますが、朝の納豆とサラダチキン、トレーニング中のEAAが入ってる状態だと、血糖値があまり上がらないんですよ。トレーニングが終わって、勤務先の病院に着いたらお餅を食べます。でもそこでお餅を食べても血糖値が上がらないんです。
|おすすめの3時のおやつ 、教えてください!
12時ぐらいにお昼を食べた方が、3時におやつを食べるとすると、タンパク質を先に食べておいた方がいいです。それか、ゆで卵。ゆで卵を食べて15分ぐらいしてから、和菓子を食べるのがいいと思います。
おすすめは殻が割ってあるゆで卵。私は味付けされているゆで卵を勤務している病院のコンビニで買っています。ただ、ゆで卵の黄身って実は全部脂質なんです。なので脂質を減らすダイエットをされている方には向かないですね。
|コンビニで買っている食べ物は他にもありますか?
サラダチキンの他に、豆 腐バーやカニカマのバーを買って食べています。でも本格的な減量に入ると、毎日同じものを食べてカロリーを管理しています。昨日よりちょっとカロリーを増やそうとした時に、食べているものが毎日違うと計算に誤差が出てきます。同じものを食べ続けていれば、そんなに誤差は大きくならないじゃないですか。なので本格的な減量に入ったら、想定外のものは食べないですね。
最近だと「ロカボ」の表示がついた食品もありますが、ロカボは炭水化物が少なくても、カロリーが高いという場合があります。ケトジェニックダイエットをしている方はロカボが合っています。そうではない方にとって、ロカボがダイエットに良いかどうかは、一概には言えません。「この食品を食べたら大丈夫」「健康に良い」ということではなく、ダイエットをする上で何が自分に必要かを考えた上で、選ぶことが大切です。
|運動編:筋肉痛はチャンス!

筋トレと有酸素運動、時間があれば両方やった方がいいのですが、なかなかそうは行かないんです。なので私は基本的にはいつもは有酸素運動はせず、筋トレしかしません。去年のシーズンは有酸素運動をしないで体脂肪率3%にしたんですよ。
今年は有酸素運動と筋トレを組み合わせています。今までは2時半起きだったんですけれど、それをあえて30分早めています。でも有酸素運動は20分だけです。筋トレは、スプリット法と言って、身体を部位ごとに分けて毎日別の部位を鍛えて、筋肉を休ませながら鍛えるという方法もありますが、私は「全身法」で毎日全身を鍛えています。ですが脚だけは毎日やるときついので、脚だけは脚の日を決めて、パーソナルトレーナーさんについてもらっています。やっぱり人が見ててくれる時と見てない時とでは全然違います。一人でやっていると、インターバルが長くなっちゃうんですよ。
|ジムに通ってないですし、家に器具もないんですけれど、おすすめの筋トレはありますか?
自重トレーニングがおすすめです。自重トレーニングの王様はなんと言ったって、腕立て伏せです。
今まで運動したことのない方がいきなり腕立て伏せしたら、次の日にすごい筋肉痛になると思います。それでもちょっと軽くやって、続けてみてください。怪我は別ですけれども、痛い時にはまだその運動ができる身体になってないということです。それならばもっと軽い負荷で、毎日やると、そのうち筋肉痛にならなくなってきます。そうしたら重量増やしていって。痛くなくなったらチャンスですよ。
|部分痩せってできるんですか?
これ、永遠の課題なんです。もしかしたらできるのかもしれません。だけれども基本的には、全身の脂肪をどんどん削っていくことによって細くしていくしかないと思うんですよ。
ボディビルで脂肪を落としていく中で、人によってどこの脂肪が一番先に落ちるかは違うんです。私はけっこう身体を絞っても、太ももの脂肪が落ちるのが一番最後です。明確なエビデンスはないですが、これは体質なんじゃないかなと思いますね。なので、自分が細くしたいところが細くなるまで、頑張るしかないと思います。でもそれを目指すあまり、無理はしていただきたくないので、減量には時間をかけてください。2週間で1キロよりも早い減量はしない方がいいです。

