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2026年6月8日

「マッチョにはマッチョの医者が必要」

50代でボディビルを始め、会社立ち上げ―心臓血管外科医 華山先生インタビュー


NTT東日本関東病院で心臓血管外科の部長をつとめる華山 直二 先生。医療現場の第一線で活躍する医師でありながら、50代で始めたボディビルディングでタイトルを持ち、さらには会社を設立されました。ボディビル競技を始めた経緯、そしてこれからどんなことをしていくのか、飽くなきチャレンジを伺いました!





|ボディビル事始め:実践したからこそ分かった ブルース・リーのカッコよさ


—医師でありながら、ボディビル競技に取り組まれた背景を教えていただけますか。


それを話すと長くなりますよ。一言では語りつくせない理由があります。

そもそも私、ブルース・リーになりたかったんです。ブルース・リーど真ん中の世代で、『燃えよドラゴン』は映画館で5回見ました。それで空手をやったらブルース・リーになれるのかなと思いまして、中学生の時に空手を始めて、松濤館流と糸東流でそれぞれ2段を持っています。東日本医科学生体育大会(医学部の学生だけが出る大会)では空手部門で優勝しました。

でも、それくらいまでになっても、ブルース・リーの肉体にはならなかったんです。


心臓外科医になったら忙しくて、ずっと運動ができなくて。子供のキャンプに行ったら、これからテントを張って寝る、という前に帰らないといけないくらい体調が悪くなってしまいました。そんな情けない経験をして「こんなことじゃいけない」と思いました。



―今のお姿からは想像できません。その後トレーニングを始められるんですよね。


たまたま家から歩いて行けるところにゴールドジムができたんです。時間もできたので、運動しようと思って、そこに行き始めました。最初はスタジオレッスンをやっていましたが、せっかくなのでウェイトトレーニングも始めたんですよ。最初はベンチプレスで40kgを1回上げるくらいでした。そうしたらだんだん楽しくなってきて、気づいたら100kg上げられるようになっていました。最終的に125kgまで行ったんですけれど、そこからちょっと目標を変えようかなと思いました。


目標って言ったら、やっぱりコンテスト。そうしたらトレーナーさんに「華山さん、2年経ったらステージの上でポージングしているんじゃないですか」って言われたんですよ。その時は疑っていたんですけれど、10か月後にはステージの上でポージングをしていました。2018年に北区オープン・フィットネス大会でマスターズ3位、2023年には第31回東京ノービスボディビル選手権大会55kg以下級で優勝しました。


あれで調子に乗っちゃったんですね。面白くなって、ボディビルをやっていたら気づいたんです。ブルース・リーのあの肉体はポージングなんですよ。ブルース・リーがブルース・リーたる所以って、あの広い広背筋。ヌンチャクを持った時の広背筋の張り出しがカッコいいわけですよ。でも普通に立っていたら、広背筋なんて全く出ないんです。あれってまさに広背筋をはみ出させるボディビルのポージングなんです。なので私は 60歳にして初めて自分の目標にたどり着けたんです。


|医師×ボディビル:起業という新たなチャレンジ


―ボディビル競技に進出をされて、株式会社ムスクルスを設立されました。設立の経緯や思いを教えてください。


私は医師でボディビルダーでもあるので、マッチョの異常値に関しては医学的に検討することが出来ます。マッチョの検査結果を見たら「この値がひどいので、運動やめなさい」と言われるかもしれないですが、この程度なら大丈夫とか、違うマーカーを見れば「ここが正常なら大丈夫ですね」という形で色々アドバイスができます。


例えば、クレアチニンの値が2.0だった方がいたんです。クレアチニン2.0って相当悪い腎不全だと出る値なので、「あなた透析になりますよ」と言われて、私のところに来ました。でもクレアチニンは骨格筋の中で作られているんです。その方はマッチョで骨格筋の量が多かったので、クレアチニンが高く出て当然なんです。そこで骨格筋の量に関係なく腎機能を管理できるシスタチンCの値を測ってもらったら、正常値だったんですよ。だから、マッチョにはマッチョの医者が必要なんです。



エビデンスを得るために、論文も読んでいます。こんなにやったことがないなっていうくらい、結構勉強しています。生放送のラジオで話しているので、締め切りまでにちゃんとした台本を作ろうと思って。出来上がらなかったら放送に穴が空いてしまうじゃないですか。台本を書くのは大変で、でもおかげで色々な話題に詳しくなりました。「トランス脂肪酸がなぜトランス脂肪酸と言うのか」をラジオの台本を書いている時に初めて知りました。「ちまたで信じられていることが実は…」みたいな話題って、引き付けられますよね。


人にお伝えする立場なので、色々と実験もしています。今まで減量ということに関しては、ありとあらゆる方法を自分で試してみました。今日も自分に機械をつけて、24時間自分の血糖値をモニターしています。何をどれくらい食べたら血糖値が上がるのかを測っているんですよ。


|さらに先へ:ボディビルダーも健康になりたい方へも


―今後目指したいことを教えてください。


医師が常駐しているジムを作りたいです。高齢の方を見ていると、体調を崩すと運動を辞めちゃうんですよ。でも体調を崩した方ほど続けてほしいじゃないですか。本当の怪我だったら、休まなくてはいけないのでそれは見極めないといけないけれど、筋肉痛が来たからやめるでは意味がない、痛くなり始めたのは効いている証拠ですよって。


健康にいいスポーツなんてないと思うんですよね。オリンピックの選手だってみんなどこか怪我して、休むじゃないですか。ボディビルも健康のためにやっているわけじゃないんですけれど、だからこそ健康のためにやっている人たちに対して指導できるのかなと思っています。

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